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2010年 05月 02日
八重山諸島・jitensha旅Ⅰ


「俺、着替えのパンツ持ってきてねえや。」
摂津守殿はそう言って受付にパンツが売られているかどうか聞きに行った。
ここは西表島。日本最南端の温泉である。
摂津守殿は今朝ホテルを出るときからじかに海水パンツを穿いて出てきていたのだった。
この西表温泉には内湯のほかに
水着着用で緑が映える東屋風の屋根のある露天風呂に入ることができるのだった。

旅行に出る前準備で、もちろんこのことも承知しており、
全員水着持参であった。
摂津殿のこの小学生が遠足を思いっきり楽しんでいるような行動で、
なんとも言えず、思わずニヤリとしてしまう。
こんな気持ちは大切にしたいものである。

今回の旅は自転車で八重山諸島を走ろうというものだった。
メンバーは6人。
高校時代からの先輩、同輩である。
正式には播磨ポタリング倶楽部の八重山遠征である。
上総守殿、御典医殿、摂津守殿、人麻呂殿、紅一点の按針殿、そして某、六々守である。
みんなアラカン。上総守殿は中学時代からの先輩。
みんな音楽部だった。

播磨ポタリング倶楽部は略称をハリマポッター、
愛称をハリポタという。みんなはハリポタと呼び合っている。

ちょうど3年前の6月ごろだっただろうか。
ことの発端は「ホヤで一杯」だった。
摂津守殿より連絡があって、「仙台から帰ってホヤがあるから一献どお?」との誘いがあった。
呑々守殿と某の3人が摂津守殿屋敷に集合した。

我が仲間たちは、まるで江戸時代のような名前をつけて呼び合っている。
この江戸時代趣味は江戸詰め家老、上総守殿の命名と影響によるものである。
この評定の話題は、某が始めていたブログと自転車談義となった。
まだ呑々守殿、摂津守殿は自転車を持っていなかった。
某はブロンプトンという英国製の折りたたみ自転車に乗っていた。

その席で呑々守殿が「そんなぶさいくな、自転車に乗らんわ。」とおっしゃる。
呑々守殿のご舎弟はトライアスロンの選手で、一級品の自転車に乗っている。
摂津守殿はまだポタリングが何をするのかも知らなくて、一切自転車の興味はなかった。
ただ、ブログの開設について興味津々であった。

それから2~3日あとのことである。呑々守殿から電話があった。
「今日、そっちへ行くから都合大丈夫か?」
「いつでもどうぞ。」ということで、呑々守殿と会った。

呑々守殿が「ところで、自転車何買うたらええ?」という、突然の話。
さっそく小径車のそれぞれの特徴を吟味した。
「何言うても、やっぱりブロンプトンやで。」という某の言を参考に自転車店に足を運び、
後日ブロンプトンを入手した。
先日の「そんなぶさいくな・・・云々」は一切忘れていたのだろう。

その頃江戸表でも、同じような現象がおきていた。上総守殿である。
その頃、すでに空中戦と称して、E・メールを頻繁に交わしており、
逐一、仲間の動静がわかっていた。
しかもメールは御座候の候文である。
おまけに上総守殿のメールは長文である。仕事もできないくらいに長い。
上総守殿も何を買おうか思案中であったので、
やはりブロンプトンをすすめたが、別のライズアンドミューラーのビー・ディー・ワンを入手した。

で、次は御展医殿。
当初は関心が少なかったが、ある日、呑々守殿に電話があったそうだ。
「今自転車屋やねん。もう買うてん。」ダホンのジェットストリームだった。
次いで、とうとう無関心派の摂津守が電話をしてきて、
「今自転車を買いに来ている。何を買えばいいんか教えてくれ。」とおっしゃる。
電話でアドバイスし、ブロンプトンを手に入れた。
人麻呂殿が続いてブロンプトンを買っていった。
最後に播磨守殿。
すでにホームセンターで買っていた自転車があるので、
それで十分だということで新しい自転車は購入しなかった。

みんな自転車が揃ったところで初めてのポタリングに出かけた。
鉄道廃線跡の自転車道である。
前半はなんとか楽しく走って行くが、
播磨守殿の自転車の歯車が極端に小さく、人の3倍ぐらいの回転が必要になる。
だんだんと疲れが出てきて、
「この自転車ではポタリングができん。」ということが分かった。
後日とうとう、ダホンの自転車を手に入れることに。

今度は衣装である。「何買うたらええん。」というのがE・メールの主題となっていった。
ズボンは、靴は、上着は、雨具は、ヘルメットは、ザックは・・・・。
摂津守殿は、とうとう買った衣装を全部身につけて写真をメールに添付してくるようになった。

こうして、自転車ののめりこんでいったのだが、
今や月一度の例会がたのしみになっており、
さらには、紅一点の按針殿もダホン・ミューを購入し男どもに負けず走っている。(続)
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by jitetabi | 2010-05-02 19:54 | 八重山諸島 | Comments(4)
Commented by 按針 at 2010-05-09 18:05 x
この音楽、この語り口・・・なんといえません。
そして、始まった播ポタの紹介、按針も初めて
耳にすることも・・・。お天気のいい日の写真ですね。
白いハイビスカスとロイヤルブルーの空の色、綺麗
です。
Commented by jitetabi at 2010-05-09 20:02
按針殿
そうですね。城達也のジェットストリーム。
懐かしいです。
Commented by kazusanokami at 2010-05-09 21:30
ニューPC"VAIO VPCL12AFJ"から流れる"JET STREAM"、懐かしく拝聴。
今を去ること、四十余年前、学生時代にFM東京でよく聴いた番組。
「ミスター・ロンリー」はボビー・ヴィントンの1964年のヒット曲。
ベルベット・ヴォイスとも泣き節とも言われました。
5月6日付の"JET STREAM"はちょいと趣きを異にしているよう。これは、今一度、ゆるりと拝聴しませう。
Commented by jitetabi at 2010-05-09 22:12
上総守殿
例のジェットストリームの語りの前のバージョンがあるとか。
それかどうかは分かりませんが、
違うバージョンのを見つけました。
懐かしいですね。
あのころ、海外旅行は夢。
きれいな絵葉書のような光景を頭にうかべて聴きました。
兼高かおると芥川隆行の語りがダブります。


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